「平年値が更新される」というニュースを耳にすることが増えてきました。
気象庁が発表している天気の平年値が2021年5月19日より10年ぶりに更新される、ということのようです。
平年値が変わることで私たちにどんな影響があるのでしょうか?
そもそも平年値って何なのでしょう。
「平年」「平年並み」という言葉は天気予報でよく聞きますよね。
「桜の開花は平年より5日早かった」
「今年の夏の気温は平年並」
「今年の梅雨の降水量は平年を下回った」
などなど。
◆そもそも平年値ってどうやって出しているのだろう?
◆どうして10年ぶりなの?
◆平年値が変わることで何か私たちに影響はあるの?
今回の記事では、そんな疑問にお応えしていきたいと思います。
「2021年平年値が変わる」ってどういうこと?
天気予報でよく聞く「平年値」「平年並み」といった言葉。
平年値には、以下のようなさまざまな項目があります。
気温、降水量、日照時間、風向、風速、気圧、
梅雨入りや梅雨明けの時期、各地の桜の開花日、
積雪の深さ、台風の発生数・接近数・上陸数 など
そもそも平年値というのはどうやって出しているのでしょうか?
日本では1951年以降、過去30年間の観測値の平均を平年値として利用しています。
その平均値を更新するのは10年おき。
毎年更新ではないのですね!
現在の平均値の元となっているのは1981年〜2010年の観測データです。
そして2021年5月19日からは1991〜2020年の観測データを元にした平均値が利用されるのです。
極端な天気が多かった直近の10年がきちんと反映されるのですね。
今回の更新で「私たちの実感や体感に合った数字が平均値になる」といえるでしょう。
2021年平年値が変わる!注意点と私たちへの影響は?
平年値の更新のポイントは?
今回の平均値の更新の大きなポイントは、気温の平年値が上昇することでしょう。
夏になるとよく、
「昔はもっと涼しかった!」「日本じゃないみたい!」という声が聞こえてきます。
北海道や東北のこれまではエアコンが不要だった地域でもエアコンを取りつけたという話も耳にします。
温暖化や都市部ならヒートアイランド現象の影響で確実に暑くなってきている、という私たちの肌感覚に合った平均値に更新されます。
年平均気温の平年値は全国的に0.1℃〜0.5℃上昇します。
平均値の更新のポイントはもうひとつあります。
降水量の平年値も多くの地点で10%程度多くなります。
直近の10年は雨の多い年が多かったことが影響しているようですね。
平年値の更新の注意点は?
この度の更新により、気温の平年値が上昇したことが、私たちにとっての注意すべき点となります。
気温の平年値の上昇と同時に夏日や真夏日の日数も増えることになります。
どのくらい増えたのか以下の地域を例に見てみましょう。
【夏日(最高気温が25℃を超えた日)年間日数】
旧平年値 | 新平年値 | 増加日数 | |
富山 | 103.2日 | 112.4日 | + 9.2日 |
宇都宮 | 101.3日 | 111.3日 | + 10..0日 |
東京 | 108,7日 | 118.5日 | + 9.8日 |
岡山 | 133.3日 | 140.4日 | + 7.1日 |
【猛暑日(最高気温が35℃を超えた日)年間日数】
旧平年値 | 新平年値 | 増加日数 | |
富山 | 5.7日 | 8.1日 | + 2.4日 |
宇都宮 | 3.6日 | 5.9日 | + 2.3日 |
東京 | 2.4日 | 4.8日 | + 2.4日 |
岡山 | 10.7日 | 15.2日 | + 4.5日 |
例えば、これまでは天気予報で以下のように言われていたとします。
「平年値を上回る暑さ」
「猛暑日は平年に比べて4日多かった」
それが同じ状況であっても、今後は以下のように言われるということが起きてくるということになります。
「平年並みの暑さ」
「猛暑日の日数は平年並み」
平年並みと言われると多少気持ちが緩みますが、熱中症対策や体調管理には気を配っていかないと危険ですので、気をつける必要があります。
また「平年並みの暑さ」だからといって、温暖化やヒートアイランド現象の影響がなくなっているわけではないので、そちらも正しく認識していきたいですね。
最後に
2021年5月19日から運用される新しい平均値。
最新の観測値を元にした平均値となり、私たちの肌感に合った数字が使われることになるのは嬉しいことですよね。
一方で天気予報のニュースの中での表現が変わってくることもあります。
昨夏だったら、「平年を上回る暑さ」と表現されていた状況でも、今夏は「平年並みの暑さ」という表現に変わることも出てきます。
「平年並みの暑さ」という表現につられ、油断をしないように気をつけていきたいものです。
最後までお読みいただきありがとうございました。