神戸パンのまち散歩

ブログ

2016/11/30 (水)

パン子のPANPO|クロージング・トーク vol.2 「ケルン 壷井豪シェフ」

「KOBE パンのまち散歩」オープニングイベント「KOBE パントーク2016」の際にもご協力、ご登壇頂いたシェフの皆さまに、クロージング・トークとして2016年の神戸PANPO、そして神戸という街とパンとの関わりなど、シェフそれぞれの想いを語って頂きました。

第二回目はケルンの壷井豪シェフのインタビューです。ケルンさんは御影に本社本店を構える、創業昭和21年の老舗。「東(神戸市東部地域)のパン屋といえばケルン」と言っても過言ではない知名度とイメージですが、PANPOにはケルンさん唯一の中央区にある店舗にご参加頂いています。

1-0

–パン子(以下略P):PANPOは中央区のイベントということで、ケルンさんとしてはメインフィールドから離れたエリア。そこで、PANPOにご参加頂いている店舗の特色について教えてください。

–壷井シェフ(以下略壷井C) 「パンのまち散歩」やPANPOには支店の中で唯一中央区にある三宮店が参加しています。女性のお客様が大半なことは他店と変わらないと思いますが、近辺にオフィスが多いという立地的なものもあり、3時ごろのおやつ時には男性のお客様がグンと増えますね。事務所の皆さんへの差し入れかな~という感じで、同じパンを10個とか沢山ご購入頂くことも多いんですよ。パンはボリュームがあって手頃な値段ですから、おやつに向いているのかもしれませんね。三宮店でしか起こらない光景ですが、棚に置いてある商品陳列用のトレイごとドーンとレジに持ってこられるお客様も多いです(笑)。基本的にお客様お一人当たりの購入点数や購入金額が高めというのが三宮店ならではですかね。

–パ: 本年度のPANPOの傾向や、お客様の様子など、お気づきの点はありますか?

–壷井C: PANPOにご参加のお客様は…やはり圧倒的に女性ですね。週末に数名で集まってのご来店が多いように思います。他府県からのご来店も多いと聞いていますので、やはり参加することによる効果はあると思います。PANPOも今年で4年目ということで、初年度は「初物」ということでものすごく反響が大きく、反対に去年は何故か穏やかだったのですが、今年はまた復活して伸びてきているなと感じますね。明らかに去年よりお客様の反応はいいです。

PANPOに参加する店舗側としては、「お客さん増えた、売れた、よかった」ではなくで、そこから先、「何故ケルンに来てくださったか、他に何を求めておられるか」これを何とかして掴みたいところです。PANPOはあくまでキッカケなので、これを如何に繋げて広げていくか、そこを意識できる良い機会として捉え、来年のPANPOまで繋げていくという感覚が大事ですね。

–パ: PANPOの時期、お客様のリアクションも気になりますが、店舗スタッフの皆さんの感じやモチベーションなどはいかがですか?いつもに比べてプレッシャーなどはないでしょうか?

–壷井C: いつもは来られないお客様が増えるわけですし、当然店舗スタッフの気合いもモチベーションも違います。そもそも11月は、夏の暑さもようやく落ち着いて、秋のイベントやフェアが目白押し。パン屋として一番忙しい時期です。しかもクリスマス用のシュトレンの販売も始まりますし、そこにPANPOも入ってくるので、忙しくなるぞ~と皆めちゃくちゃ気合いが入っていますね。そういういい意味でのプレッシャーは、ポテンシャルを上げるには大切だと思っています。

–パ: PANPO用のパンについてお伺いします。2016年バージョンはどんな感じですか?

–壷井C: プチデニッシュのセットにしました。食べやすさと可愛らしさ、あとバリエーション、これを組み合わせるとそうなったんですよね。三ノ宮店の店長ともよく話し合って、よし、コレで行こう!と。でもいざPANPOが始まってみると、PANPOファンの常連のお客様もおられるので、「去年のアレが美味しかったから楽しみにしていたのに、今年は違うの~」って(笑)いや~商売は分かりません(笑)。

2-0

–パ: PANPOで初めてケルンさんを訪れるお客様に「ここがケルンらしいところ」と見てほしいトコロ、ケルンさんを象徴するようなポイントはどこでしょう?

–壷井C: そうですね、創業が昭和21年なんですね。その当時から作ってきた「昔からのもののよさ」、歴史の重みや代々伝わってきたものの良さや強さが「日常」になって並んでいる、そんな安定感を感じていただければなと思っています。もちろん色々と新しいトレンドを取り入れて新商品は出していくのですが、定番商品の存在感はすごいなぁって。「私達がケルンのパンですっ!」と言っているような感じがするくらい(笑)。

–パ: 確かに私は昔から行き慣れているせいもあるとは思いますが、「ドイツ」とか写真みただけで「あっ、ケルンさんの」ってすぐわかりますね(笑)

–壷井C: 常連のお客様にはそんなことをよく言われます(笑)。「チョコッペ」でもホントに商品構成としてはシンプルで、ソフトフランスにチョコ、で帯巻いている、それだけなのにズッと売れる。何か「売れる」ポイント、キッカケみたいなものがあるはずだとずっと考えているんですけど、未だに「これか!」ってのいうが見つからない(笑)商品を発案した先代に「なぜ?」って聞いてみたんですが、「何やったかな~、昔やから忘れたわ~」と言われまして、「そんな大事なこと忘れんとって~」と(笑)。なんとか思い出してもらおうとしているんですけどね(笑)。

–パ: すごく抽象的な質問かもしれませんが、シェフにとって、「パン」とはなんでしょうか?

–壷井C: インタビューを受けると大体冒頭でこの質問を頂くのですが(笑)、ぼくは「パンとは?」という答えはお客様がお持ちだと思っています。自分は職人ですから、こういうパンを焼く、ああいうパンを焼きなさいもできますし、自分のスタイルのパンはこれですと焼くことは可能です。でも例えば、あるお客様がお店のドアの前に立たれ、「クリームパンが食べたいから、お店に入って買いたい。」と思って入店されたとします。その時に、店頭にぼくがその日の気分で焼きたかったパンが並んでいて、クリームパンがなかったとしたら、自分的には正解でも、お客様にとっては正解ではないわけです。クリームパンが欲しいのにクリームパンないんですから、お客様を笑顔にすることができません。パンはやっぱりお客様に買っていただいて、美味しいねと食べて頂いて、そこで初めて「活きる」ものです。お客様の手に届くこと、お客様の気持ちに沿えるものであること、そこに「パンというもの」として「パン作り」の答えがあると思っています。

–パ: この2016年、シェフとケルンさんにとって、どんな一年でしたか?

–壷井C: 今年は阪神甲子園駅構内に新しい店舗をオープンしました。初めて駅構内での出店で、しかもそこで焼かずに販売するだけの店舗も初めてということもあって、今までとは違う調整事項やクリアすべき点など、その「違い」という点から学ぶことが沢山ありました。また、色々なイベントに参加させて頂きつつ、そこから新しい繋がりが生まれてきて、声を掛けて掛けられて…ホントに忙しくて大変でしたけど、とても充実していました。パン屋としてだけ存在していると、考え方や視野が「作るのはパンである」という「点」的で小さくフラットになってしまう気がしますが、他の業態の方とお話していると、急にバンと視野が広がって世界が変わるような衝撃が…あったんですよ(笑)。普段の自分とは全然違うアプローチだったり、ビックリするような解決法が聞けたり、「何でそれに気付かなかったん!」ってなるような発見の連続。正直異次元の世界なんですが、面白い、ホントに面白かったです。

–パ: もう来年の話をしても鬼は笑わない時期なので、来年の抱負などお聞かせいただけますか?

–壷井C: 今年と同じように色んなイベントに可能な限り参加させて頂いて、パン屋だからこそできることを見つけていきたいし、もっと沢山の可能性や普段の自分とは別の視点、異なる視野に出会うキッカケを作って、そこから得たものを繋いでいきたいと思います。地域の交流イベントや、小さなお子さんがいるご家族にも気軽に参加して頂けるイベント、そういうコミュニティ作りのイベントも区とタッグを組んでドンドン手がけていきたいですね。街の未来像にパン屋としてアプローチし、その可能性を模索していく、そういうことができる素地があることが神戸らしさじゃないかなと思っています。今年出会ったクリエイターの方々とも「来年も先も、もっと面白いことをしてこう」と企んでますよ~考えだしたら止まらないんで、身体がもう1個ほしいです(笑)。

終わりに:

今回、ケルンの壷井シェフにはご多忙の中、字数の都合で全部お伝えしきれないほど熱く語って頂きました。
モノ作りの側面から、建築家、デザイナー、他にも多様な業種のクリエイターさんとの交流の中で、パン職人もクリエイターになりうるという観点をもたれた壷井シェフ。本当にイキイキと楽しそうに語られるシェフの姿から、パン作りも、街やコミュニティを形成していく一つのツールになりうると、まるでパン生地をフンワリ膨らませるように、地域社会も優しく膨らませていこうと行動されているんだなと感じました。「クリエイター」としての壷井シェフの活動も、来年はますます注目かもしれませんね。
もちろん、壷井シェフの登場するトコロ、ケルンのパンあり!で、間違いないので、ファンの皆さんはどうぞご安心を!これからの壷井シェフの益々のご活躍期待しております!壷井シェフ、どうもありがとうございました!

 

神戸PANPO facebook | https://www.facebook.com/KOBEPANPO/

かわいいラッピングバスが登場!

【お問合せ】
「KOBE パンのまち散歩」実行委員会 事務局(神戸市中央区総務部まちづくり推進課)
〒651-8570 神戸市中央区雲井通 5-1-1 TEL:078-232-4411(代表)