神戸パンのまち散歩

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2016/11/29 (火)

パン子のPANPO|クロージング・トーク vol.1 イスズベーカリー 井筒大輔シェフ

「KOBE パンのまち散歩」オープニングイベント「KOBE パントーク2016」の際にもご協力、ご登壇頂いたシェフの皆さまに、クロージング・トークとして2016年の神戸PANPO、そして神戸という街とパンとの関わりなど、シェフそれぞれの想いを語って頂きました。

第一回目は、イスズベーカリーの井筒大輔シェフ。
イスズベーカリーさんといえば、1946年創業、神戸で初めてパン屋として1998年に「神戸マイスター」の認定を受けたという老舗です。

 

–パン子(以下略パ):この2016年度のPANPOはいかがでしたか?

–井筒シェフ(以下略井筒C) PANPOは今年4年目でしたっけ…初年度が爆発的に多かったのは記憶に残っていますが、不思議に静かだった昨年に比較して、今年は全店舗共通して反応が良かったように思います。実際にPANPO単体の売上の数字にハッキリ出ていますよね。

–パ: 2016年PANPOのパンについてと、それを作ろうと思ったキッカケを教えてください。

–井筒C: 紫芋のミニデニッシュを入れています。3個入りで値段も少し控えたので、去年よりもよく出ていますね。紫芋でというのはシーズン的なものと、面白い食材だからということ。ミニにしたのは、生地にも練り込んでいるので全体が紫っぽいですから、大きいパンだと色が見えすぎて不気味かなと(笑)。小さいとそこのところ見えないので、小さくしちゃいました。ウチとしてはデニッシュの品数は実は少なくて…ただ自分の修行時代にはものすごい作っていたので、修行時代の思い出のパンなんですよ、だから今回デニッシュにしてみました。

 

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–パ: 今回のPANPOのパンもそうですが、毎月新作としてバリエーション豊かな新商品を作り出しておられますよね。その源というか、どういう感じにアイディアを思いつくものなのでしょう?

–井筒C: 毎月7から8アイテムを新商品として投入して、数ヶ月ごとに入れ替えるようにしてます。新商品について考える時に他のパン屋さんに行ったりとか、そういうことはしないですね。割とアイディアとかパターンは出尽くしている感じがするので。そこではなくて、むしろ普通にご飯食べにいっている時に「これとこれ組み合わせたら面白い」とか、あとコンビニで新製品の形状とかでピンときたり、そういうのがほとんどです。違うジャンルのものからも貪欲に取り込めるぐらいでないと、斬新さとか中々難しいですよね。

–パ: そういう新商品もモチロン買うのですが、やはり子供の頃から買い慣れた定番モノからトレイに…そう思って売り場をしげしげと見ると、ロングセラーと言えるようなパンも現役バリバリで店頭に並んでますよね。全体としてそういうアイテムの割合などはどんな感じですか?

–井筒C: 先程も触れましたが、新商品は毎月7から8種投入はしていても、その中で一年経ってまだ販売のローテーションに残っているアイテムは実はとても少ないです。そういう風に新商品を積極的に入れ始めたのもここ4年ぐらいからなんですよ。それ以前はお話に出たようにずっと昔からの定番が主流で、そんなに目新しいものが並ぶということはなかったですね。今は何十年来の定番っていうと全体の1割ぐらいかなと思います。

–パ: 現在店頭には何種類ぐらいのパンが並んでいて、パンの種類が最も充実している時間帯は何時ぐらいですか?

–井筒C: そうですね、例えば先日パン子のPANPOでも取り上げて頂いた元町店で、大体170種類ぐらいでしょうか。各店舗のサイズによってアイテム数はマチマチですが、最もパンが店頭に並ぶ時間は各店共通で大体15時前後です。パン子さんお薦めの「ぐるっと周り一面パンな幸せ」の光景は、元町店にて15時目安で体験可能です(笑)

–パ: 15時ですか?他店だと大体10時から12時が多いように思いますが。

–井筒C: 立地的なものが大きいのですが、当社各店舗割と開店時間が遅めなんですよ。例えば北野坂、朝早い時間帯は人通りが少ないので、店を開けていてもあまり効果的でないんです。なので、あえて開店時間も10時からにしています。その代わり21時や23時までなど夜遅くまで営業している、これが特徴であり強みですかね。なので、営業時間全体としては女性のお客様の割合が多いとは思いますが、他店に比べると男性のお客様多いんじゃないでしょうか。特に21時ごろとか夜は男性のお客様ばかりだったりすることもあります。

 

–パ: PANPOでイスズベーカリーさんに初めてお越しのお客様に「これがイスズベーカリー」という代表的なパンとか、名刺代わり的なパンがあれば教えてください。

–井筒C: そうですね、当社の看板商品である山食(食パン)はモチロン自信をもってお試し頂きたいのですが、パンは基本嗜好品でもあるので、アレが名物、これは必食とかよりも、ズラッとパンが並んでいるというのがイスズらしい光景なので、パンがある幸せとか、イッパイあって選ぶのに迷うような「ワクワク感」、これを是非堪能して頂きたいと思っています。

–パ: またPANPOまたはKOBEパンのまち散歩がキッカケで神戸に来られたお客様に、神戸らしさというものをお伝えするとしたら、何を挙げられますか?

–井筒C: これは本当に神戸ならではかなと思うのですが、昔から神戸に生まれ育った方がよく「食パンはここのパン屋のを買う」とか「バゲットはここのパン屋に決めている」とか言われます。ごく普通に当たり前として買い分けておられる。そして店側もそれは分かっている。そういう成熟した感覚、パン屋との付き合い方を是非観察して頂ければと思います。
そういう使い分けのような感覚とかこだわりがしっかり当たり前として身についていて、皆さんその「マイスタイル」を熱く語られる。でも相手の「スタイル」もちゃんと聞く。そしてあっちがいい、いやこっちがいいと語り合う、それがとても神戸っぽいなと思います。こんなにパン屋だらけでパン屋が当たり前の地域って日本でそうはないと思うんですよね。しかもパン屋同士がまた仲が良いので、他都市のパン屋さんにはよく驚かれます(笑)

 

–パ: twitterやInstagramなどSNSも積極的に活用されていると伺っていますが、実際にそこからお客様の声を受けて…みたいなことはあるのでしょうか?

–井筒C: うーん、それはほとんどないというか、幸いにも良いコメントを多く頂戴していて、個々嬉しく拝見しています。それをスタッフに「良いこと書いてもらってよかったなぁ」と言って見せてるんです。こういうお客様からの声を励みに益々頑張ってくれたらいいなと。
SNSの正直さってすごいなと思います。SNSだと、建前みたいなものは飛んじゃって、ホントにお客様のリアルな声がわかる。そのダイレクトさがこちらも糧になります。ボクなんかは、よくこうやって人前で話す機会をもてていますし、自分の考えをお伝えするチャンスも多いですが、これから職人もドンドン前に出ていってモノ作りについて話したほうがいいなと思っています。口下手ならSNSでもブログでもなんでもいいんです。パン屋なので、技術力があって、パンが個性的で美味しいのは当たり前です。そこから先、自分のこだわりや個性をドンドン出さないと、そういう時代がきているんじゃないでしょうか。

 

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–パ: この2016年は、シェフにとってどんな一年でしたか?

–井筒C: 様々なイベントに声を掛けて頂いて出店してみて、今までになかったぐらい人との繋がりが加速度的に増えたりしましたね。試行錯誤も多かったですよ、この間みたいに(オープニングイベントの際)、紅茶もコーヒーも飲まないって言ってるのに、それに合うパンを考えて焼けと無茶ブリされたり(笑)。ただでも、そういう軽く追い込まれた中でモノ作りをして、できるとわかって、皆さんに喜んでいただけることは職人として幸せなことです。例えばロカボ神戸プロジェクトとか、まさに色んな繋がりの中で参加できたわけで、これまでそんなことって考えたこともないし、関わるキッカケもなかったけど、今や低糖質のパンが定番として店頭に並んでますからね。そういう広がり始めた繋がりは、今後も大事に続けていきたいですね。

–パ: 来る2017年、もしくはその先、イスズベーカリーさんとシェフが目指すもの、これから作っていきたいパンの姿、そういったものについてお聞かせ下さい。

–井筒C: 神戸は本当にパン屋さんが沢山あります。特に中央区には地図で見てもおわかりでしょうが、ものすごくパン屋さんが密集しています。歴史のあるお店も沢山あります。なので「神戸のパン屋として、その名とイメージに恥じないパンを作り続けること」、これが何より大切なことです。ウチのパンはエッジ感というよりも、普段着の格好つけない、分かりやすいパンだと思って作ってます。そしてそんなパンから、「こんな風に美味しい」とか「こんな食べ方してもいい」とか、パンの持つ自由さ、魅力を飾らずに伝えていけたらいいなと。やっぱり自然体が自分らしいというか、イスズらしくていいなと考えてます。

 

終わりに:
PANPOの話題をメインにしたインタビューでしたが、お客様に喜んで頂くために、シェフが日頃何をどんな風に考え行動されているのかが垣間見えた気がします。
イスズベーカリーさんの社訓を拝見すると、「笑顔」というキーワードがありました。
イスズベーカリーさんといえば、お客様のワーっと嬉しそうな表情もそうですが、スタッフの皆さんの笑顔も印象的なんですよね。シェフはいつもその「笑顔」のために、スタッフの皆さんや周りを盛り上げ、色んなことに目を向け、耳を傾けて行動されているということも伝わってきました。これからもイスズベーカリーのパンにワクワクさせられに、お店に通っちゃいますよ。井筒シェフ、ありがとうございました!

 

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